2010年7月4日日曜日

普通選挙を求めるネットワーク参加への呼びかけ

参院選挙の投票日まで残すところ僅かとなりました。本来であればこのような呼び掛けは事前にしっかりと計画を練って行うべきなのでしょうが、私たちの力量不足から、このような緊急な呼びかけとなりました。参院選投票日まで時間は僅かですが、より多くの団体、個人の方々が、呼びかけに名前を連ねて頂くようお願いする次第です。

アンケートの前文でも触れていますが、現在の日本では公職選挙法とそれに関連する住民基本台帳に基づき、ホームレス状態である、DV被害者である等の理由で住民登録が不可能な人達は、選挙権の行使ができません。今回の発起人達が暮らす大阪市西成区では、2007年の春以前は、現実にそこに暮らす人々の必要性と、日本国憲法で保障さるはずの公民権(選挙権を含む)保護の観点から、野宿者や定住場所を持たない日雇い労働者に対しても、労働組合や支援団体の事務所などでの住民登録を受け付けてきました。
しかし、2006年秋に、既婚者の警察官の男が愛人との間に新たな婚姻関係を結ぶために、他人になりすます必要があり、支援団体事務所に住民登録をしていた者から住民登録を買い、虚偽の婚姻届を提出したことが発覚し逮捕するという事件がありました。本来であれば、その矛先は、法を犯したその警察官へと向かうべきなのですが、選挙を控えた市議会議員たちの思惑もあり、憲法に明記された市民の公民権保護の視点は完全に失われてしまい、公職選挙法、住民基本台帳法を尊守しなければならないとの理由から、(人々を離れて離れて存在する法律とは、一体、誰の、何の為の法律なのでしょう?)翌2007年3月29日に2088名の人々の住民票が強制的に消削されました。それ以降、いま現在に至るまで、住民登録することが不可能な人々は、選挙権の行使が出来ません。
 2005年9月14日の在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件の最高裁大法廷判決以降、海外在住の日本人でも、両院を問わず国政選挙での選挙権行使が認められたのですが、住民登録不可能者は在日日本人でありながらも、公民権が剥奪されているのです。

そのような例は、民主主義国家を標榜する国々ではほぼ存在しません。EU諸国、北欧、米国、カナダ、オーストラリア、アイルランドなどの国々では、ホームレス状態にある人たちの選挙権を保証しています。日本の人々にはあまり知られていませんが、アメリカ、カナダを始め住民登録制度がない国々も数多くあります。
 日本政府が締結している国際自由権規約にも、そのような状態にある人々の公民権があらゆる差別なく保証されるべきであることがはっきりと書かれています。ですが日本政府は、条約に違反している場合の国際委員会への個人通報を認める議定書を締結していないことを理由に、選挙権付与の差別状態を続けています。

そのような状況の中、先日、2007年に大阪市による住民票職権消除の当事者のひとりで、職権消除差し止めを求めて即時抗告の本人訴訟にて勝訴を収め、その後、他の当事者を共同原告として、住民登録不可能者への選挙権行使の制限は違憲であるとの国賠訴訟を起こし、7月24日に控訴審判決を控えたKさん本人が6月30日に逮捕されました。4年前の交通事故保険金受け取りの際の勤務先の詳細が事実とは違うことを強引に理由とした詐欺容疑です。大阪府警公安警備課主導の今回の逮捕が、ホームレス状態にある人々の選挙権実現を目指すKさんの裁判闘争への弾圧であることは言うまでもありません。そのほかにもKさんさまざまな重要な訴訟を提訴しており、直近では、在日朝鮮人の友人が、本名で建築現場で働くことを望んだにも関わらず、元受である大林組が下請け業者と一体になって本人に通名の使用を強制した事件に関わる裁判に共同原告として関わっていたことや、過去2回の国政選挙の投票日前に、ホームレス状態にある人々の選挙権の保証は当然である旨のビラを釜ヶ崎地区で貼付し、屋外広告物条例違反でたて続けに逮捕され、最高刑が罰金刑であり拘留さえまれな微罪であるにも関わらず2回目の拘留は何と半年を超える長期拘留となりました。その裁判も続いていますが、裁判でも一貫して、普通選挙が行われぬ現状に対して、憲法が保障しているいかなる成年国民への選挙権を求めるのは、憲法97条に鑑み、国民としての義務であり、ビラ貼りは当然、無罪にすべきだとの主張を続け、次回の選挙投票日でのビラ貼りについても、その可能性を決して否定しないKさんを参院選挙投票日前に逮捕し身柄を確保することが、大阪府警のメンツに関わる問題でもあったのでしょう。

以上の説明にあるように、ホームレス状態などの理由があって住民登録不可能な当事者に対する選挙権の問題は、大阪市での職権消削以降、一部の法律家の間では周知の事実となってはいましたが、長らく当事者やKさんの本人訴訟に期待を賭けるのみでした。
 ですが、ここにきてホームレス法的支援者の会所属の法律家たちが東京を中心に野宿者たちへの選挙権に関する実態の聞き取り調査を行うなど、新たな展開が見え始めています。私たち普通選挙実施を求めるネットワークは、ホームレス状態やDV被害などを理由に選挙権行使が制限されている人々の権利回復を、主旨を理解していただける多くの皆様と供に目指して行きたいと思います。今回はそのための一歩です。限られた日数ではありますが、より、多くの団体、個人の呼びかけへの参加を求める次第です。
7月11日の投票日当日まで集約を継続します。よろしくお願いします。

ホームレスに選挙権を!!DV被害者に選挙権を!!
普通選挙の実施を求めるネットワーク

大阪市西成区太子2-1-2 釜ヶ崎医療連絡会議気付
TEL・FAX:06-6647-8278または080-7009-5925まで
equal.vote.right@gmail.com
(7月1日現在、呼びかけ参加団体、個人 NPO釜ヶ崎医療連絡会議、ふるさとの家、釜ヶ崎キリスト教協友会)

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